骨折治療の基本は、折れた骨をもとの位置に戻し(整復)、固定することです。しかし適切な治療が遅れると、治癒までに時間がかかったり、骨の変形が残ったり、あるいはくっつかないままになったりすることがあります。そのため骨折においては正しい診断と適切な治療が重要です。そこで今回は“骨折の治療”についてお伝えします。
整復とは何なの?
折れた部位がずれていなければそのまま固定しますが、ずれている場合はもとの正常な位置になおすことが必要。これを「整復」といいます。整復には痛みを伴うので、麻酔をして行うこともあります。整復には3つの種類があります。
①徒手整復…骨折部を、皮膚の上から医師の手を用いて整復する方法。
②牽引による整復…ずれた骨を持続的に引っ張って正常な位置になおすために行われます。 重りのついた牽引装置で持続的に引っ張ります。 子どもの場合は、骨癒合が早いため、牽引だけで治癒することもあります。
③観血的整復…皮膚を切開して、直接骨に力を加えて正常な位置に戻します。
3つの固定の方法
整復後には固定をしますが固定の方法は大きく分けて3種類あります。骨折部位、骨折の種類によって違いますし、手術が必要なものもあります。
①外固定
骨折の部位によって固定法はさまざまです。ギプス固定・ギオプシーネ・ギプスシャーレ・副木(そえ木)固定・鎖骨バンド・8の字包帯・三角巾固定などがあります。
②内固定(手術)
麻酔をしたうえで皮膚を切開して、骨のずれを直接整復し、金属のピン、ワイヤー、スクリュー、プレート、ロッド(棒)などを用いて皮下で骨を固定します。ピンニング・プレート固定・髄内釘固定などがあります。
③創外固定(手術)
開放骨折、粉細骨折、関節部の骨折などで行われる固定法です。 骨折部位をはさんだ両側の骨に、ワイヤーまたはピンを数本打ち込み、骨のずれを整復し創外固定器(金属の支柱)を連結して、骨折を皮膚の外で固定します。
痛みに対する治療方法
・痛みは骨折の大きな症状のひとつであり、しっかりコントロールする必要があります。
・痛みの強い炎症期にはアイシング(氷で冷やすこと)と鎮痛剤で痛みをやわらげます。
・痛みがストレスとなり、ドーパミンという脳内物質が減って意欲を低下させることがわかっています。
・痛みを伝えるときは、ズキズキ、ジンジンなどの擬態音を使ったり、10段階でいくつとあらわしてみたり、できるだけ具体的に伝えることが大切。
痛い時はがまんせずに医師や看護師に伝えましょう。
治療では早期リハビリが重要!
骨折の治療では、整復、固定とともにリハビリが大きな柱となります。
筋肉をまったく動かさずにベッド上で安静にしていると、筋肉の運動量が極端に減るため、筋肉が細くなっています。筋肉を増やし、その機能を回復させるリハビリは、早期から積極的に行うのが効果的。
高齢者の場合は、骨折を機に介護が必要な状態になることもあるので、とくに早期からのリハビリが大切です。