高脂血症は2007年より脂質異常症と名称が改められた病気です。動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患をまねく原因となります。そこで今回は“脂質異常症(高脂血症)の治療法”についてお伝えします。
脂質異常症(高脂血症)の治療について
脂質異常症(高脂血症)の治療には、食事療法・運動療法・薬物治療の3つがあります。一般的に、まずは3~6ヵ月の食事療法と運動療法を用いた生活習慣の改善を行います。生活習慣の改善を行った結果、脂質の値が目標値に至らず、また、動脈硬化や狭心症などの危険性が高いと判断された場合、薬物療法が検討されます。
脂質異常症(高脂血症)の薬物療法について
薬物療法の注意点は次のようになります。
・薬物治療をすれば生活習慣の改善が不要になるわけではないこと
・脂質異常症(高脂血症)の治療は、生活習慣の改善が基本にあり、薬物療法はあくまでも、目標値に至らない脂質の値をコントロールするための補助治療
・薬物療法の結果、検査値が良くなったとしても、自己判断で服用を止めないこと
脂質異常症(高脂血症)の代表的な薬には、大きく分けて「コレステロール値を下げる薬剤」「コレステロール値と中性脂肪値を下げる薬剤」「中性脂肪値を下げる薬剤」の3種類があります。この3種類について次でお伝えします。
①コレステロール値を下げる薬剤
◆スタチン系製剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)
肝臓でコレステロールが合成されることを抑制する薬です。
代表的な薬剤:メバロチン・リポバス・リバロ・リピトール・クレストール・ローコール
◆陰イオン交換樹脂(レジン)製剤
コレステロールを体外へ排泄する働きを促進する薬です。
代表的な薬剤:クエストラン・コレバイン
◆小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
小腸でコレステロール吸収を阻害し、血中コレステロールを低下させる薬です。
代表的な薬剤:ゼチーア
②コレステロール値と中性脂肪値を下げる薬剤
◆ニコチン酸誘導体製剤
肝臓での中性脂肪・リポタンパク質の合成を抑制し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を低下させる作用とともに、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす作用があります。
代表的な薬剤:ユベラN・コレキサミン・ペリシット
③中性脂肪値を下げる薬剤
◆フィブラート系製剤
中性脂肪の合成を阻害する薬剤です。
代表的な薬剤:ビノグラック・ベザトールSR・リポクリン・トライコア
◆EPA製剤
脂質の合成を抑制したり、血液を固まりにくくしたりする作用があります。
代表的な薬剤:エパデール・ロトリガ