糖尿病(2型糖尿病)の治療には、①食事療法、②運動療法、③薬物療法の3つの柱があります。今回は“糖尿病の治療法”について、方法ごとにお伝えします。
①食事療法
食事療法を行う前に現在の食生活を見直し、治療に対する動機を高め、治療を習慣として身につけることが必要です。具体的にポイントは次のようになります。
・食生活の見直し…患者さん自身に食事内容を記録してもらい、食生活のどこに問題があるかを検討する
・治療に対する動機を高める…糖尿病はなぜ治療をする必要があるのか、食事療法がどのような効果をもたらすかを知識としてだけではなく、適切な食事療法によって実際に血糖値や脂質の値が低下することを実感することが大切。
・治療を習慣として身につける…糖尿病の治療で最も大切なことは、治療を中断しないこと。
②運動療法
糖尿病における運動療法の目的には次のようなものがあります。
・インスリン抵抗性を軽減
・糖尿病の進行、種々の合併症を予防
・ストレスを解消
・心肺機能や筋力を維持
運動はただ血糖を下げるためだけではないのです。2型糖尿病や肥満の患者さんでは体内の過剰脂肪を減らすことが重要です。適切な食事療法と運動 を組み合わせることによって初めて体脂肪の減少をはかることができます。運動によって脂肪を効率よくエネルギーとして用い、体脂肪を減少させるには身体に十分に酸素を取り入れながら行う有酸素運動が必要です。一般的には1回15分から30分、消費エネルギーとして160-240kcalを週3回程度がおすすめです。
③薬物療法
インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の双方の関与が考えられる2型糖尿病ではさまざまな薬剤が患者さんの状態に合わせて用いられます。よく使われる次の4つをご紹介します。
αグルコシダーゼ阻害薬
小腸に存在する二糖類分解酵素であるαグルコシダーゼの作用を阻害し、食事による血糖値の上昇を抑制。この薬剤自体には血糖値を低下させる作用はなく、単独で用いても低血糖はきたしません。
速効型インスリン分泌促進薬
速効性の短時間作用性インスリン分泌薬であり、服薬後速やかにインスリン分泌が促進され、しかも作用が短いため低血糖がおこりにくいとされています。
スルホニル尿素薬
膵臓のβ細胞からのインスリン分泌能が比較的保たれているが、食事療法、運動療法によっても十分良好な血糖が得られない場合に使用。β細胞からのインスリン分泌を促進し血糖降下作用を発揮します。
ビグアナイド薬
直接のインスリン分泌作用はありませんが、肝臓における糖新生の抑制、消化管からの糖吸収の抑制、筋、脂肪組織でのインスリン感受性の改善などの作用があります。